家のようなやさしい空間で考える、社会のこと。
東日暮里の住宅街の一角、階段をあがった2階にそのスペースはあります。「さわさわ」−その名前を聞いて、風が草木をそっとゆらすイメージを持った人もいるかもしれません。この名前の由来は、お茶を飲みながら気軽に話すことを表す「茶話」と、アラビア語で「一緒」を意味する「سوا(サワ)」から来ています。
チャイティーやお菓子を食べながら、パレスチナに関する話をはじめとした社会を知り、考え、そして「誰かと一緒にいる」ということを、ゆっくり考えてみるための場所です。

遠く離れた、関係のある地への眼差し:パレスチナとの連帯
世界情勢はますます不安定になり、パレスチナなどの国を気にかけることもある中で、それでもどこから知ればいいかわからない……という思いを抱く人もいるはず。さわさわは和やかな雰囲気で、より詳しくパレスチナの文化と歴史、そして昨今のジェノサイドなどの文脈に触れています。一方で、学びにくる場所としてだけではなく、カフェ利用としてコーヒーやティーを飲みながら触れられるという開かれた「場」としてもあるのが、さわさわの特徴といえます。
カフェでは、パレスチナの現状を伝えるドキュメンタリー映画の上映会や、現地で活動する人々を支援するためのチャリティイベント、シルクスクリーンのワークショップなどが開催されています。例えば、「パレスチナのろう者」たちへの支援に関しては反響もあったと言います。戦火の中で情報から取り残されがちな聴覚障害者たちの存在に光を当て、イベントの売上を寄付する活動は、単なる資金援助を超えた「忘れない」という連帯の表明でもあります。

こうした活動の根底には、「自分たちの足元にある不条理と、世界で起きている不条理は地続きである」という深い洞察があります。パレスチナのイシューを「遠い国の出来事」として切り離して考えるのではなく、自分たちの生きる社会の延長線上として捉える姿勢が、訪れる人々に発見や対話の機会を作り出しています。
クィア・コミュニティとの交差性
東京でもクィアコミュニティとパレスチナ連帯の動きは、実際にも重なっています。例えば、「NAMNAM SPACE」というクィア・コミュニティスペースでも過去に「パレスチナ あたたかい家」という展覧会が開催され、展示やトークイベントを通して、国際社会に生きる人々がパレスチナのことを自分ごとに考えて行動し、パレスチナをきっかけに日本やほかの国で起こっている権力による支配や暴力のことも考え、実践する場になっています。
さわさわも、そういった流れの中にある場所としての実践のひとつ。パレスチナを「遠い国の話」として消費するのではなく、自分たちが生きるこの社会の問題として考えるための拠点として機能すると同時に、あらゆるマイノリティイシューに触れる場所として書籍やグッズなどが並んでいます。
下町のカフェで味わう、見る、読む。
提供されるフードやドリンクは不定期で変わりますが、ドリップコーヒーやお茶などに加えてパレスチナ産の素材を使ったケーキやスイーツの提供も。(画像はチャイとデーツを使ったケーキ。)

知識として読んだり話したりするのに加えてこうして食に触れてみることができるのもさわさわならではの体験。メニューは不定期で変わるので来るたびに新しいドリンクやフードにも出会えるかも。
また、カフェでは不定期でさまざまなイベントや展示、体験ワークショップも開催しています。最近ではさわさわのお隣にあるスイス式の活版印刷工房 「TypeShop_g/Studio」とコラボレーションをしたワークショップが開催されたり、スーダンへの寄付のためのスーダンのお茶とお菓子や支援グッズを販売するチャリティ•フリーマーケットなども開催されています。
マイノリティにとってのコミュニティを考えるうえで、「ただそこにいられる場所」がどれほど大切かは、言うまでもないこと。さわさわは、パレスチナやスーダンなどで起こっているジェノサイドや人道危機に晒されている地域への支援、それらの情報を知れる場所としてありながらもその空気は柔らかく、開かれています。名前の通り「一緒にいる」ことを大事にしているこの場所は、共にあることを考えたり、話したりできる大切な場所になっていきます。
「さわさわ(sawasawa house)」
住所:東京都荒川区東日暮里5-12-4 2階(現在は階段のみ)
アクセス:JR鶯谷駅から徒歩7分、JR日暮里駅から徒歩10分
営業日:木・金を中心に月数回オープン(不定期、Instagramをご確認ください)
現金のみ/筆談・UDトーク対応
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Instagram:https://www.instagram.com/sawasawahouse/

