2026年7月18日(土)・19日(日)の2日間、東京・北千住の複合アートスペース「BUoY」にて、「TOKYO MALE ART FAIR 2026(TMAF2026)」が開催されました。会場となったBUoYは、かつてボウリング場と銭湯だった建物をリノベーションしたアートセンターで、地下は劇場やギャラリー、稽古場として使われ、2階には併設のカフェが広がっています。
ステージや稽古場、ギャラリーを備えたこのアート空間の一部として、コンセプトは”ブレるカフェ”を掲げ、俳優や作家などアートに関わる人々が日替わりで店に立つという独特の場所柄も、TMAFという実験的なフェアの器としてふさわしいものでした。
フェアの沿革と2026年の顔ぶれ ーー 3年目を迎えた男性表象アートの拡がり
TMAFは2024年から新たにスタートした、男性表象・メールアートをはじめとしたアートフェアです。進化を続ける男性表象、クィア表象の「いま」を体感できる機会とアーティストの発表・交流の場を創出することで、それらの表象のさらなる普及・発展を目指すという理念のもと、初回となる2024年は身体性やセクシュアリティ、社会との関わりをテーマに制作するアーティストや、男性表象にまつわる本を扱う書店・出版社など、総勢10組が集結してスタートしました。2025年の第2回では出展の裾野が日本国内にとどまらずアジア圏へと広がり、そして迎えた2026年の第3回では、その国際色がさらに深まっています。

今回は韓国・ソウルを拠点とするギャラリー「xlarge」が、AIによって生成された架空の”彼氏”を題材にした作品「I Want Your Sex」を発表するなど、テクノロジーと欲望のまなざしを扱う作品も登場し、薔薇族の時代から受け継がれてきたゲイカルチャーの視線の歴史が、AIが生み出した身体の上に重ねられるという、過去と現在をつなぐ批評的な視点も示されました。
ほかにも、絵画やペインティングを手がける矢野憩啓や小橋陽介、ファッションと親密な写真表現を横断するDannison、フォトグラファー木下ロコと蝶ネクタイブランドAGOMAのコラボレーション、刺繍で”Love”をテーマに制作を続けるクィア刺繍作家Stitchguy、四川出身で東京を拠点にドラァグクイーンとしても活動する羅ヤオ(Boo)など、絵画・写真・刺繍・映像・ファッションと多様な表現形式のアーティストが集結しました。

書籍・出版の分野でも、アジア各地のクィアやジェンダー、孤独や連帯にまつわる本を扱う「loneliness books」や、日本の古いゲイ雑誌を実際に手に取れる特設コーナー「DOWN PURPLE GAY MAGAZINE LIBRARY」を展開した「He magazine」が出展しており、単なる展示販売にとどまらず、日本のゲイカルチャーの歴史をアーカイブし直す試みも見られました。
さらに2日目には、写真研究者の小林美香氏によるトークイベントも実施されました。写真や視覚文化における「まなざし」の問題を専門的に研究してきた小林氏の視点は、展示されたアート作品を単なる鑑賞の対象としてだけではなく、男性性がいかに眼差され、消費され、表現されてきたかを批評的に問い直す機会を来場者に提供し、フェア全体に厚みを加えるプログラムとなりました。
フェアが持つ意義 ― 周縁化されてきた表現に光を当てる場として
このフェアが持つ意義は、男性表象やクィア性というテーマをアートマーケットの中心に据えることで、これまで周縁化されがちだったクィア・アートやゲイカルチャーの表現に、正面から光を当てている点にあります。ART FAIR TOKYOのような国内最大規模の総合的アートフェアとは異なる立ち位置で、TMAFは身体性やセクシュアリティ、社会とのかかわりという一貫したテーマ性のもとにアーティストを束ね、わずか3年という短い歴史の中で国内から日本・アジア全域へと出展者の輪を広げてきました。

北千住という下町の、しかも元銭湯・元ボウリング場という異色の空間で開催されること自体も、既存の美術館やギャラリーの枠組みにとらわれない、フェア自身の姿勢を体現しているように感じられます。SNS上でも会場の様子や作品の写真が多くシェアされ、来場者同士が作家本人と直接言葉を交わせる交流の場としても機能していました。回を重ねるごとに規模と国際性を増すTMAFは、日本におnける男性表象・クィアアートの1つの拠点として、今後も注目を集めていきそうです。
イベント情報(イベントは終了しました)
名称:TOKYO MALE ART FAIR 2026
会期:2026年7月18日(土)13:00〜18:00/7月19日(日)12:00〜19:00
会場:BUoY(東京都足立区千住仲町49-11)
入場料:1,500円(会場内使用500円クーポン付き)
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公式サイト:https://www.tmaf.jp/tmaf2026
公式Instagram:@tokyomaleartfair

