2026年7月17日(金)19時から21時にかけて、新宿駅東口の広場(キャットボード前)でPRIDE ACT JAPANによる「同性婚を願う街頭アクション」が行われました。同性婚の実現というひとつのゴールに向けて連帯するプラットフォームとして始動した団体で、今回はPROTEST RAVEとの合同開催となり、DJ POIPOI、NEKO MAFIAが会場を音楽で盛り上げました。
当日の東京・新宿は朝から天候が不安定で、1時間開始を遅らせての開催になりましたが、それでも東口の広場には、レインボーフラッグを手にした思い思いの服に身を包んだ参加者が次々と集まりました。傘やカッパで雨をしのぎながら、スピーカーが入れ替わり立ち代わりマイクを握り、スピーチとコールで声を上げ続けました。同性婚の実現を願う気持ちを示すレインボーグッズを持参してほしいという呼びかけに応じ、雨に濡れた旗やピンバッチ、横断幕が新宿の夜に彩りを添えました。

このアクションは、2019年に始まった一連の同性婚訴訟「結婚の自由をすべての人に」を背景に立ち上がりました。同性婚を認めない現行の法規定が憲法に違反するとして、同性カップルらが国に損害賠償を求めてきたこの訴訟は、最高裁が2026年度中に憲法判断を示す見通しとなっています。今回のアクションは、この訴訟の原告を応援し、違憲判決を後押しすることを狙いとしており、当事者だけでなくマジョリティーによる連帯の必要性も訴えるものでした。
愛する人を「家族」と胸を張って言える当たり前の社会
壇上に立った一人が、ゲイを公表しているVoice Up Japanの新田賢二さん(25)です。新田さんはコミュニティ団体でSNSリーダーを務めており、この日は「等身大の自分」として言葉を紡ぎました。まず語ったのは、同性愛者であることを隠しながら周囲に知られることに怯えて生きる人々、戸籍上の性別に縛られるトランスジェンダーの人々、長年連れ添ったパートナーを家族として看取ることすら許されなかった人々、そして差別や偏見、いじめに苦しみ自ら命を絶った人々の存在でした。新田さんは、そうした声を上げることすら選べない人たちの思いも背負ってこの場に立っていると述べました。

そのうえで新田さんは、同性婚の問題は人種や性別、国籍、年齢といった属性を問わず、生まれた瞬間から誰もが持つ「人権」の話であると強調。少数派の声だからという理由でいつまでも耳を傾けられず、多数決に勝つことばかりを求められる現状を「嘘の民主主義」だと表現し、率直な違和感を口にしました。
新田さん自身の願いはシンプルです。愛する人と結婚し、一緒に笑い、一緒に泣き、「家族です」と胸を張って言える人生を送りたい。それだけだといいます。しかし、異性同士なら当たり前にできることが、同性同士というだけで閉ざされ、何十年一緒に生きて愛し合っていても、法律上は「他人」とされてしまう現実があります。新田さんは、自分が結婚したとしても他人の結婚が壊れるわけではなく、自分が家族を持ったとしても日本の家族観が崩れるわけではないと語り、同性婚を望まない人はただ同性と結婚しなければよいだけの話だと述べました。信条を理由に他人の人生や権利を妨げてよいはずがない、というのが新田さんの主張です。
最後に新田さんは、これから生まれてくる次の世代の子どもたちに「あなたの人生は、あなたのものだ」と伝えたい、「人権が軽んじられる世界で生きろ」とは言いたくないと述べ、人を愛し、結婚し、家族になるという当たり前の権利と幸せを味わわせてほしいと訴え、スピーチを締めくくりました。
スタートラインに立ちたい。すべての人に平等な結婚の権利を。
会場でDonationのボランティアをしていた小林美咲さんにもお話しを伺いました。
── 今回のイベントのテーマでもある「同性婚」ですが、ご自身の関わりや考えていることなどお聞かせください。
小林美咲さん:
法律婚には自分は興味ないけど、バイセクシャルとしてパンセクシャルとして、同性婚ができるようにならないと、そもそも法律婚って選択肢も選ぶことができないので現状は不平等だと思います。
平等なスタートラインに立ったり、社会的な安心感をもったりということが現状のLGBTQIA+当事者は保証されていないように思えます。パートナーで未来を考える上で、「私たちもいつか結婚するのかな?」という会話が実現するプロセスが今は果てしない道のりに感じています。

でもだからこそ、もし本当に結婚できるようになったら、法律婚についても真剣に考えるかもしれないと自分は思うし、そういうオプションが増えれば結婚する人たちも増えていくんじゃないかなとも思うので、まず考えるスタートラインに私たちをあげてくださいというのが私の想いです。
最高裁の判断が控える中で。
雨に濡れながらも、会場には最後まで多くの人が残り、コールとともに虹色の旗を振り続けました。壇上ではDJ POIPOIとNEKO MAFIAによる音楽も鳴り響き、スピーチとビートが交互に会場を包む、これまでの街頭アクションとは一線を画す雰囲気となりました。

主催のPRIDE ACT JAPANは、レインボーのフラッグやグッズを持参してほしいと呼びかける一方で、「日本における同性婚の実現」という一つの論点に絞って集う趣旨を明確にし、それ以外の主張のビラ配布やプラカードは控えるよう事前に案内していました。参加者が安心して声を上げられる場をつくるという姿勢が、悪天候の中でも人々を新宿の街頭に引き寄せた要因の1つだったといえます。
最高裁の憲法判断を控えるなか、当事者とアライが新宿駅の東口広場で同じ場に立ち、雨の中で声を重ねた一夜となりました。今回が第一回となる本アクションは、日本社会への世論喚起を目的としており、今後も継続的な開催が見込まれています。

