(前編はこちらから)
Pride Festivalの1日目となる6月6日(土)、代々木公園イベント広場と野外ステージにてイベントが開幕しました。今年の出展ブース数は217組にのぼり、昨年の209組を上回る規模になりました。
1日目は雲ひとつない晴天の中、LGBTQIA+コミュニティの団体をはじめ、国内外の企業、NPO団体、飲食店など多彩な顔ぶれが広大な会場を埋め尽くし、来場者との出会いとつながりの場を提供しました。レインボーカラーを身につけた来場者、Tokyo Prideに合わせた企業ユニフォームを揃えて参加する社員たち、家族連れ、外国人観光客……今やPride Festivalは特定のコミュニティの祭典を超え、東京の初夏を彩る開かれた広場となっていることが、会場の様子からも伝わってきます。
代々木公園の野外ステージ「Pride Stage」は今年も圧巻の充実ぶり。総勢17組150名超という過去最大規模の出演者が一同に集結しました。
初日の司会は、青山テルマとドリアン・ロロブリジーダが務め、パフォーマンスアーティストとしてAI、SIRUP、Macoto(RHT.)が登場。ドラァグクイーンのコーナー「DRAG QUEENS SHOW TIME」では、若手11名によるユニット「iGFiNity(アイジーフィニティー)」や、Rachel D’Amour、肉乃小路ニクヨ、ブイヤベース、ビビー・ジェローデルらが出演し、虹色に満ちたパフォーマンスで会場を沸かせました。
2日目の司会は、中川未悠とベビーヴァギーが担当。AYA SATO、Kaya、Jasmin High、八方不美人らが出演し、それぞれの表現でステージを盛り上げました。そして2日目のフィナーレを飾ったのが、ドラァグクイーン・エンターテイナーの枝豆順子さんによる「枝豆順子 Produce Show」。このステージのためだけに特別に構成された総勢80名によるスペシャルショーは、今年のTokyo Prideのパフォーマンスを締めくくる象徴的なプログラムとして来場者の記憶に刻まれました。
アーティストによる音楽ライブ、ドラァグパフォーマンス、ダンスショーが交錯する代々木公園の野外ステージは、ジャンルも性別も性自認も超えた表現の場として、毎年このイベントならではの空間を作り出しています。
1万5000人が参加したParade
2日目に開催されたPride Paradeには1万5千人・60のグループが参加し、渋谷・原宿エリアを行進しました。先頭を歩いたのは東京レインボープライドの主催者のグループ。テーマである「多様性と平等がひらく未来」を掲げたフラッグに続き、Marriage For All Japan、YOUTH世代の連帯、トランスジェンダーの権利を訴えるグループ、全国のプライド団体、参加企業など、それぞれのメッセージを持つグループが連なって行進しました。沿道には多くの観衆が詰めかけ、行進する参加者へ声援を送る光景も時折見ることができました。
スペシャルサポーターで4人組の人気YouTuber、「午前0時のプリンセス」もパレードに参加し、会場を大いに盛り上げました。1994年に数百人で歩き始めた日本初のパレードは、32年を経て「すべての命に平等な権利を」という願いを渋谷の街に響かせる、一大ムーブメントへと成長し続けています。
今回のParade参加者で、渋谷区の会社に勤めるmioさんにインタビューを行いました。
——Paradeの感想を教えてください。
mio:まず、昨年に引き続きFestivalやParadeに参加できて良かったです!今回のParadeはかなり長い列で、途中別の隊とも合流したり、すれ違ったりしたので、別で参加していた友達に会えたときは嬉しかったです。特に今年はテーマ通り、ダイバーシティを感じるシーンが多かった印象。道の脇でたまたま通りかかったであろう方が笑顔で手を振ってくれたり、私たちの後ろでも、小学生くらいの子たちがマーチ終わった後に「Happy Pride!」って叫んでいたりして微笑ましいシーンはたくさんありました。ルーツや老若男女を問わず、さまざまな属性の人たちが参加できるイベントは、よりLGBTQIA+だけでなく交差的なイシューを認知・拡大できるいい機会だと思います。

——ブース出展やイベントなど、Tokyo Prideの全体についてはいかがですか?
そうした良い光景がうかがえた一方で、やっぱり一部の企業ブースで違和感を持つこともありました。いわゆるマーケティングの1つとして、ただモノを販売したり、配ったりに終始しているように見えたり、レインボーウォッシュにも感じるシーンはなかったとは言えないと思います。企業と団体ではブースや交流の温度感は少し異なるように見えたし、広い属性がただそこにいるだけでなく、交流して高めあっていけるとよりもっと価値のあるイベントになっていきそうだと思いました。2日間、楽しかったです!来年もまた参加したいです。
mioさんが指摘した「レインボーウォッシュ」への視線は、参加者の成熟を示すものの1つでもあります。集まる人が増えるほど、「なぜここに来たのか」「来た先に何をするのか」が問われる。Tokyo Prideはいま、動員数の先にあるものを問い直すフェーズにさしかかっています。
Marriage For All Japan——同性婚への切実な願い
今回のTokyo Prideでとりわけ印象的だったのが、Marriage For All Japan(以下、マリフォー)の取り組みです。マリフォーでは毎年、Tokyo Prideを通して同性婚に関する周知や署名活動に関する発信などを行っていますが、今年は代々木公園からほど近い、渋谷区立北谷公園を貸し切り、「結婚の平等にYES!マリフォーパーク」としてミニトークショーなどを通して啓蒙活動が行われました。
会場の北谷公園はTokyo Prideのお祭りのような雰囲気とはまた別の、静かに言葉と向き合える空間が生まれていました。ミニトークショーに耳を傾ける来場者の表情には、お祭りの賑わいとは違う、より切実な温度がありました。
「最高裁イヤー」の2026年、今なお日本では実現していない同性婚の法制化を求める声の切実さと、それでも諦めないコミュニティの強さを代々木イベント広場と2カ所で来場する人たちに伝えていました。
2025年にはアジアでタイが結婚平等法を施行し、世界では30カ国以上で同性婚が法制化されています。日本は先進国のなかで取り残されているという事実が、このステージにさらなる重みを添えていました。2日目のパレードでは同コラボレーションが引き続き行われ、行進の中でも同性婚実現への意思が示されることになります。
「可視化」から「権利獲得」へ——Tokyo Prideの次なるステップ
2026年の開催を振り返ると、Tokyo Prideが一貫して主張してきたことが見えてきました。LGBTQIA+の存在を可視化する段階は、ここ数年である程度達成されてきました。しかし、可視化されたからといって、当事者が直面する課題が解決されたわけではありません。依然として就労、住居、医療、そして婚姻と家族……日常のあらゆる場面で、「同じ日本でいきる人々」が異なる扱いを受けている現実は続いています。
Tokyo Pride2026は、そうした課題を「祭典」の形を借りながら、真剣に問い続けたイベントでした。約27万5千人超という参加者数は単なる動員数ではなく、「これだけの人々がともに声を上げている」という意思表明の結果でもあります。Tokyo Prideで出会い、ブースで話したり、ステージの前で一緒に歌って、笑い、涙した体験は、会場を離れたあとも人々の「日常の変化」へとつながっていくはずです。

2026年3月、同性婚を認めない民法・戸籍法の規定が憲法に違反するとして各地の同性カップルが国を訴えた6件の訴訟が、最高裁大法廷に渡されました。6件の高裁判決のうち、5件が「違憲」または「違憲状態」との判断を示しており、最高裁が早ければ2026年度中にも統一的な憲法判断を示す見通しです。一方、2023年に施行されたLGBT理解増進法は「理解の推進」にとどまり、差別を禁止する規定や同性婚を認める制度にはいたっていません。
Tokyo Pride2026が代々木公園に集めた約27万人の声は、この歴史的な局面への応答でもあります。司法が扉を開きかけているいま、立法がそれに続くのでしょうか。「多様性と平等がひらく未来」というテーマは、まさにこの瞬間の日本社会全体に向けて発せられた言葉でもあります。
最高裁の判決がでた上でのぞむ2027年のTokyo Prideはどのような光景になるのでしょう。また、それに向けて、個人や団体、企業などがどのようなアクションをとることができるかなど、1年に一度のイベントだからこそ、来年を充実させるためにも、多くのことを考え行動することが求められるのではないでしょうか。
「Tokyo Pride2026」
場所:代々木公園イベント広場&野外ステージほか
アクセス:JR原宿駅から徒歩9分、東京メトロ千代田線 代々木公園駅から徒歩10分
開催日:Parade:6月6日(土)・6月7日(日)その他の詳細はHPや公式Instagramから。
Instagram:https://www.instagram.com/npo_tokyorainbowpride/?hl=ja
Web:https://pride.tokyo/

