「なんだか他の子よりも幼い気がする」「このままで大丈夫なのだろうか」と不安を感じることはありませんか?専門機関などに療育手帳の取得を勧められても「本当に必要なの?」「将来に影響はない?」と迷う方も多いでしょう。
この記事では、療育手帳の基本やメリット・デメリットをわかりやすく解説します。
療育手帳とは?

療育手帳とは、知的障害があると判定された方に交付される手帳です。主にお子さんの発達に不安があり、自治体や専門機関から取得を勧められた場合に検討されることが多い制度です。
この手帳を持つことで、福祉サービスや自治体・民間のさまざまな支援を受けることができます。療育手帳の目的は、知的障害のある方が、相談やサポートを受けながら、教育や就労などの場面で必要な支援を受けやすくすることです。
療育手帳の判定基準
取得できる基準として、知能指数(IQ)が70~75以下(自治体によって異なる)を基準とし、日常生活や社会生活に支障が出ている場合に交付されます。ただし、自治体によって判定基準等は異なります。
療育手帳は、知的障害の程度によって「重度(A)」と「それ以外(B)」に分けられます。
【重度(A)の基準】
1. 知能指数(IQ)が35以下で、下記のいずれかに当てはまる場合
- 食事・着替え・トイレ・入浴などの日常生活に介助を必要とする
- 異食(食べ物ではないものを食べてしまう)や興奮などの行動がみられる
2. 知能指数(IQ)が50以下で視覚・聴覚・身体などに障害がある
【それ以外(B)の基準】
「重度(A)」に該当しない場合
※なお、自治体によってはさらに細かく分類されていることもあります。
療育手帳の取得方法
療育手帳は、お住まいの自治体に申請し、知能検査や面談などを経て判定されます。申請先や手続きの流れは自治体によって異なるため、事前に確認しておくと安心です。
「まだ迷っている段階だけど話を聞いてみたい」という場合でも、自治体の窓口や児童相談所で相談することができます。
療育手帳のデメリット
心理的不安を感じることがある
発達がゆっくりだと理解していても、療育手帳を持つことで「障害がある」と改めて実感し、戸惑いやショックを感じることがあります。また、「周囲に知られてしまうのではないか」と不安になる方もいるでしょう。
療育手帳は自分で提示しない限り、周囲に知られることは基本的にありません。必要な場面だけで柔軟に活用することが可能です。
申請から交付までに時間がかかる
申請から交付まで1~2カ月程度かかります。サービスの利用を考えている場合は、早めに動くことが大切です。
定期的な更新が必要
療育手帳は、一度取得すれば終わりではなく、2年ごとに更新が必要です。更新時には再度判定が行われ、結果によっては区分が変わる、または対象外となることがあります。
療育手帳のメリット
さまざまな支援や優遇を受けられる
療育手帳を持つことで、以下のような支援を受けられる場合があります。
- 特別児童扶養手当などの手当の支給
- 税金の控除や減免
- 公営住宅への優先入居
- NHK受信料の免除
※内容は自治体や条件によって異なります。
日常生活での負担が軽減される
療育手帳を持つことで、日常生活のさまざまな場面で費用の負担が軽くなることがあります。
- 電車やバス、航空運賃などの割引
- テーマパークや施設の入場料の割引
- 美術館など公共施設の利用料の減免
これらの制度を活用することで外出のハードルが下がり、家族での活動の幅が広がるでしょう。
※割引内容は施設や自治体によって異なります。
教育面での支援が受けやすくなる
療育手帳を持つことで、保育園や幼稚園で加配(サポート職員)が検討されやすくなる場合があります。また、特別支援学級や特別支援学校など、お子さんに合った教育環境を選択しやすくなることもあります。ただし、対応や制度は自治体によって異なるため、事前に確認しておくと安心です。
文部科学省でも、子ども一人ひとりの特性に応じた支援を行う「特別支援教育」が推進されています。
将来の就労の選択肢が広がる
療育手帳を持っていることで、障害者雇用枠(配慮を受けながら働ける制度)での就労という選択肢が生まれます。一般雇用とは別に、配慮を受けながら働ける環境が用意されている場合もあり、お子さんに合った働き方を選びやすくなります。
取得を迷ったときの考え方
療育手帳を取得するかどうかは、お子さんの将来や生活を考えながら判断していくことが大切です。「必要なときに使える選択肢として持っておく」という考え方もあります。取得してから必要がないと感じれば、返還することも可能です。
不安があるときは、自治体や専門機関に相談しながら検討していきましょう。
将来につながる選択肢にするために

療育手帳は「必ず取得しなければならないもの」ではありません。一方で、必要なときに支援を受けられる手段でもあります。
大切なのは「周囲にどう見られるのか」ではなく、「お子さんにとってどのような選択が安心につながるか」という視点ではないでしょうか。 ご家庭に合った選択を、無理のないペースでしていきましょう。
参考資料
- 知的障害の認定基準に関する調査研究結果概要(5ページ)(こども家庭庁)
- 療育手帳制度の実施について(厚生労働省)
- 障害のある子どもの教育支援の手引き(文部科学省)
- 障害者雇用のルール(厚生労働省)

