様々なLGBTQ+当事者やAllyによる努力や社会情勢の変化により、数年前と比べてもLGBTQ+コミュニティはオープンになり、あらゆる場所にLGBTQIA+フレンドリーなスペースやイベントも増えてきました。今回はLGBTQ+フレンドリーな店が立ち並ぶ新宿二丁目だけでなく、コミュニティやLGBTQ+カルチャーに触れられる場所・イベントを紹介します。
目次
- Platform3 (東中野・ブックストア)
- Vegan Cafe PQ’s (台東区竜泉・カフェ)
- WAIFU (場所不定・イベント、パーティー)
- Tokyo Art Book Fair(東京都現代美術館・イベント、ブックフェア)
- NAMNAM Space(高円寺・コミュニティスペース)
1. platform3 (東中野・ブックストア)

platform3は「東中野駅の3番線」(JR東中野駅には2番線までしか線路がない)、lonnelinessbooks・店主でグラフィックデザイナー潟見陽さんと(TT)press・ともまつりかさん、丹澤弘行さん3人によるブックストアというコンセプトから2024年にオープンしました。
大久保にあった予約制のlonnelinessbooksを移転するタイミングで、(TT)pressの二人と合流し、多くの人が立ち寄れるオープンなブックストアとして再スタート。主にLGBTQ+や東アジア周辺、社会問題などに関する書籍を多く扱っています。
階段を登って3階に上がると少し開いた赤いドアが目に入ります。開けるとぬくもりのある木目調の空間。本棚にはzineやアートブック、マンガなど幅広いジャンルの本が並んでいます。壁はギャラリースペースになっており、毎月アーティストによる展示やパフォーマンスやトークイベントが行われています(詳細は 公式Instagramをチェック)。
platform3の情報を口コミやsnsで知ったLGBTQIA+のクリエイターが世界各国から訪ねてきたり、3人が日本各地や世界のブックフェアなどにも出展したりする中で出会ったLGBTQ+のクリエイターの書籍も並んでおり、日本で有数のクィアライブラリーとしても機能しています。
「Platform3」
住所:東京都中野区東中野1丁目56-5 401号室
営業時間:平日 14:00-22:00、土日祝 12:00-22:00
(営業時間は変更される場合があります。詳細はSNSを確認してください。)
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Instagram: @plat_form3
X (Twitter): @plat_form3
2. Vegan Cafe PQ’s (台東区入谷・カフェ)
日比谷線・入谷駅から徒歩8分のところにあるVegan Cafe PQ’sはLGBTQIA+フレンドリーなお店としても知られています。浅草や上野からも徒歩や自転車でくることができるので様々な人がお店を訪れています。
天井の高く開放感のある店内と道路に面した窓から入る光が気持ちが晴れ晴れ。本棚にはLGBTQIA+関連の書籍やフリーペーパー、壁にも関連のポスターが飾られているので、料理を待っている間に対話のきっかけとして手に取ってみたり、あるいは読みたかった本をドリンクを飲みながらゆったり読んでみたりができるところがポイント。

お店の全メニューは動物由来の食材を使わないヴィーガン仕様。米粉のパンケーキや、食べ応えもあるVEGANのスコーン、マフィンも美味しいですが、特に紹介したいのが季節のカレーです。限定20色のカレーは季節に合った食材が用いられ、紫芋と野菜、ココナッツやスパイスが効いたカレーやセロリやジャガイモなどにビーツで色づけをした桃色のカレーなど見て美しく食べて美味しいカレーが味わえます。

グルテンフリーや五葷抜きの対応も対応できるほか、ワンちゃんとの来店も可能です(詳細はご来店ガイドをご覧ください)。あらゆるお店にくる人たちが心地よく過ごせる、多様な価値観が交差するコミュニティのハブともいえる空間になっています。
「Vegan Cafe PQ’s」
住所:東京都台東区竜泉1丁目1-2 ローゼンハイム
営業時間:木〜月 11:00-17:00(定休:火水)
(営業時間は変更される場合があります。詳細はSNSを確認してください。)
予約はHotpepperの専用ページでのみ受付。
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Instagram:@vegancurry
Hotpepper: https://www.hotpepper.jp/strJ003533086/
3. WAIFU (場所不定・イベント、パーティー)
「WAIFU」は、クィア&フェミニズムをメインテーマとする、 ジェンダー、セクシュアリティ、人種、年齢などに関わらず、様々な人が安心して楽しめるDJパーティー。新宿二丁目で行われたあるレズビアンパーティーで、”トランスジェンダー”の女性であることを理由に、現WAIFUオーガナイズメンバーのひとりであるエリンさんが入店拒否された事件をキッカケに、様々な人が安心して楽しめるセイファースペースを参加者とともにつくりあげていくことを目指してスタートしました。

これまでクィア雑誌とのコラボイベントや渋谷PARCO10Fのコミューン、新宿歌舞伎町のTHE 27 CLUBなどでパーティーを開催しています。

また、LGBTQ+だけでなく、様々なルーツ・アイデンティティの人たちがよりよく生きるための発信やワークショップ、トークイベントも行っており、パレスチナへの連帯を示したり、東アジアのフェミニズムへの連帯を示すアプローチを他の国コミュニティなどと連携をとって行っています。
9月13日には千葉県成田空港の誘導路に囲まれた「木の根ペンション」にて野外パーティーも開催。国家権力と資本主義、農村・自然との共生とのぶつかり合いの歴史を象徴するような場所で開催されるパーティーにあなたも参加してみては(※当日は映画『Lyrical Vengeance』の撮影が入ります)。

「WAIFU」
イベント開催など詳細についてはSNSをご覧ください。
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Instagram:@waifu_party
HP:https://waifu-party.tokyo/
4. Tokyo Art Book Fair(東京都現代美術館・イベント、ブックフェア)
1年に1回、江東区の東京都現代美術館で開かれる「Tokyo Art Book Fair」でもいくつかのLGBTQ+カルチャーに触れることができます。

毎年多くの人で賑わうTokyo Art Book Fairは、2009年にスタートしたアート出版に特化した日本で初めてのブックフェア。毎年ゲストカントリーを選出して海外からギャラリーやアーティストを招き、その国・地域の出版文化を紹介するほか、エントランスやzineクリエイターブースである「ZINE’S MATE」など、世界各国のクリエイター、アーティストが毎年約300組参加しています。その中にはLGBTQ+当事者として製作活動をするクリエイターの姿も。

普段日本では手に入れられないクィアのアートブックやzineを作者本人の説明や想い、その国のLGBTQ+コミュニティや社会について話しながら交流できるのは貴重な体験になるはず。会期中にはクリエイターによるトークショーやサイン会などサイドイベントも目白押し。

「Tokyo Art Book Fair」
住所:東京都現代美術館、東京都江東区三好4丁目1−1
イベント開催など詳細についてはSNSやHPをご覧ください。
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Instagram:@tokyoartbookfair
HP:https://tokyoartbookfair.com/
5. NAMNAM Space(高円寺・コミュニティスペース)
NAMNAM Spaceはもともと新宿二丁目にあった文化的な場「Café Lavanderia」の精神を引き継いで誕生した場所です。2023年に神奈川県・登戸でスタートし、2024年から高円寺へと場を移しました。
反資本主義、アナーキー、クィアを軸にしており、非営利で完全にボランティアによって運営されているコミュニティスペースです。アーティストの滞在制作や音楽、展示、相互援助の募金活動など、さまざまなプロジェクトを展開しています。

ソファやウッドベンチが置かれており、居心地の良い空間です。絵画や政治的なポスターが壁に飾られ、カウンターやオープンスペースもあり自然とコミュニケーションが生まれるような雰囲気が特徴。ポップアップカフェやクィア映画の上映など、盛んにスペースに関わりのあるイベントが行われています。
高円寺のカウンターカルチャーや地下音楽、アートコミュニティとのつながりが深く、Substoreといった共鳴する店舗も少なくありません。また、パレスチナ支援などグローバルな問題への関心も高く、社会的なアクションにも積極的です。

「NAMNAM Space」
住所:高円寺北3-8-12 4階
イベント開催など詳細についてはSNSをご覧ください。
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Instagram:@namnam_space
「踏み出す、つながる」から始める
初めてこうした場所を訪れるときは少し緊張するかもしれませんが、今回紹介したスペースは知り合いがいなくても歓迎し、楽しませてくれる体験ができるでしょう。店主やスタッフ、常連さんとの何気ない会話から新しい視点や友人が生まれることもきっとあるはず。イベントや展示、フードやドリンクなど「自分の興味」から参加してみるのもおすすめです。
こうした空間は、当事者やアライが日常的に安心して過ごし、文化や情報をシェアできる社会のインフラでもあります。東京の街に点在するLGBTQIA+フレンドリースペースが、これからも多様な人々をつなぐ灯台のような存在であり続けることを願っています。
一方で、LGBTQIA+という言葉が広く知られるようになった今でも、偏見や無理解、時に攻撃的な言動はSNSや日常の中で見受けられます。だからこそこうしたセーファースペースは、安心できる環境を提供するだけでなく、互いを理解し、支え合う文化を根づかせるためにも重要です。訪れること自体が小さなアクションになり、そこから世界が少し広がるかもしれません。地域や世代、背景を超えて交わる場所は、東京という多様性のある街をもっと豊かにする原動力になります。