LGBTQという言葉の最後に付く「+」には、大切な意味があります。それは、5つの文字では表しきれない性のあり方を含め、「どんな人も排除しない」という思いです。近年、この表記は新聞やテレビ、SNSなどでも見かける機会が増えました。この記事では、「+」が生まれた背景や込められたメッセージを、具体例を交えてお伝えします。
LGBTQとは?そして「+」の役割
「LGBTQ」は、レズビアン(L)、ゲイ(G)、バイセクシュアル(B)、トランスジェンダー(T)、クエスチョニング/クィア(Q)の頭文字を合わせた言葉です。もともとはセクシュアルマイノリティを可視化し、権利や尊厳を社会に訴える合言葉として使われてきました。
しかし、現実にはこれらの5つに収まらない性のあり方が数多く存在します。そこで登場したのが「+」。これは「まだ言葉にされていない、もしくは名前のない性のあり方も認めます」という意思表示でもあります。
つまり、「+」は単なる記号ではなく、「誰も排除しない」という姿勢そのものを示しているのです。

「+」の意味と、そこに含まれる想い
性のあり方は、人の数だけあると言っても過言ではありません。LGBTQの5文字に含まれないものとして、例えば以下のようなアイデンティティがあります。
- パンセクシュアル:性別に関係なく人を好きになる
- アセクシュアル:恋愛感情や性的欲求をあまり持たない
- ノンバイナリー:男性でも女性でもない性自認を持つ
- インターセックス:生まれつき男女両方の性の特徴を持つ
これらは社会で認知されつつありますが、まだ十分に理解されているとは言えません。言葉がないから存在しないことにされてしまうケースが少なくなく、そのために孤立感や生きづらさを抱える人もいます。
「+」は、そうした人々に「あなたもここにいる」と伝える大切な役割を担っています。可視化されにくい多様な性のあり方を包み込むことで、一人ひとりの存在を肯定するメッセージとなるのです。

「+」がもたらす変化
「+」が加えられたことは、社会の意識や態度の変化を促すきっかけになっています。
例えば、企業内の研修で「LGBTQ+」という表現を用いることで、より多くの従業員が「自分も含まれている」と感じられ、安心感や帰属意識を高めることにつながっています。社員同士の理解が進めば、職場でのいじめやハラスメントを減らす効果も期待できます。
国際的にも「LGBTQ+」は定着しつつあり、学術研究や議論で広く使われています。日本でも、自治体のパートナーシップ制度や制服の選択制、多目的トイレの設置など、多様な人々が安心して暮らせるための環境づくりとともに、この表記が浸透しつつあります。
「+」という一つの記号が、社会で「見過ごされがちな人々を可視化する」効果を生み、理解の輪を広げています。
私たちができること
「+」に込められた想いを理解し、意識的に使うことは、身近なところからできる多様性への第一歩です。SNSの投稿、学校の掲示物、会社の研修資料など、ほんの小さな場面でも「LGBTQ+」という言葉を使うだけで、「誰も排除しない」という姿勢を示すことができます。
大切なのは、相手の性のあり方を無理に分類したり定義したりしようとせず、「そういう人がいる」と受け止めることです。人をカテゴリーに押し込めるのではなく、ありのまま尊重する態度が、多様性を支える大きな力になります。
また、周囲に理解が広がることで、当事者が安心して自分を表現できるようになり、結果的に学校や職場全体の雰囲気も良くなります。小さな言葉の選び方ひとつが、人の心を軽くする可能性を秘めているのです。
「+」はすべての人を受け入れるというメッセージ

LGBTQ+の「+」は、言葉にできないほど多様な性のあり方を包み込み、すべての人を受け入れるというメッセージが込められています。
これは決して「特別な人」のためだけの記号ではありません。多様性が尊重される社会は、誰にとっても生きやすい社会です。たとえば学校や職場で、誰もが自分らしくいられる雰囲気が整えば、結果的に全員が安心して学び、働けるようになります。
「+」は、多様性を理解する入り口であり、社会を一歩前に進めるための合言葉とも言えるでしょう。今日からあなたも、この「+」を意識してみませんか。それは小さな一歩ですが、誰もが生きやすい社会につながる大きな一歩になるはずです。