みなさんは”自分らしさ”を何で表しますか?服装や髪型、メイク、言葉遣いなど、その形は人それぞれです。LGBTQ+の方は特に、社会に出るとき「制服」が窮屈に感じるのではないでしょうか。
しかし最近は、男女それぞれに合った服装という考え方自体がなくなりつつあります。この記事では、「変わりゆく学校・職場のドレスコードと性の多様性」をテーマに解説していきます。
男女別はもう古い?変わり始めた服装ルール

「男の子はズボン、女の子はスカート」。
そんな当たり前が、学校や職場で変わり始めています。背景にあるのは、性の多様性への理解の広がり。服装は単なる身だしなみではなく、自分らしさや安心感を映すものです。
文部科学省は平成27年に「性同一性障害や性的指向・性自認に係る児童生徒へのきめ細かな対応等の実施について」を作成し、全ての小中高学校に配布しています。そこには、LGBTQ+の生徒が相談しやすい環境や学校生活を送る上での服装、トイレに関して関係者が連携して支援する重要性を示しています。
職場でも、平成30年の「労働施策基本方針」で性的指向や性自認に関する正しい理解を促進すると明記。厚生労働省も企業に制度整備を促し、性別を前提としないドレスコードを導入する動きが少しずつ動き始めています。
制服やスーツのルール見直しは、流行ではなく、多様な人を受け入れる社会への一歩なのです。
約7割の学校が「LGBTQ+」の生徒へ配慮

「もし制服が、自分の気持ちに合わない形しか選べなかったら…?」
そんな窮屈さを減らす動きが、全国各地の学校で確実に広がっています。産経新聞が実施したアンケートによると、制服にスカートだけでなくズボン(スラックス)もある学校は全体の74%。
一方、「ない」と回答したのは21%、制服自体がないのは5%にとどまりました。選択制や男女共通デザインの採用が、今や多数派になってきていることがわかります。これは、誰もが安心して学校生活を送れる環境をつくろうという社会全体の意識の現れでもあります。
制服の選択肢が広がることは、「自分らしくいられる日常」を守る小さな一歩。けれど、その一歩が未来の“当たり前”を変えていくはずです。
続々増えるドレスコードフリーの企業

学校だけでなく、社会に出てからも服装の自由化は広がっています。
これまでは、制服やスーツを指定している企業も多くありました。しかし近年はオフィスカジュアルを超えて、服装規定そのものを撤廃する“ドレスコードフリー”を導入する企業が増加傾向にあります。性別や年齢にとらわれず、社員一人ひとりが心地よいスタイルで働ける環境づくりが進んでいるのです。
実際に、以下のような企業がドレスコードフリーを導入しています。
- サイボウズ
- メルカリ
- みずほフィナンシャルグループ
- 三菱UFJ銀行
- ディエスジャパン
- 株式会社ケーケーシー情報システム
- 株式会社ホロニクス
- 株式会社日立システムズ
また、ドレスコードフリーでなくとも、ジェンダーフリーの考え方に基づいた男女で区別のないデザインを採用したり、女性のパンツスタイルを用意したりしている企業もあります。
LGBTQ+の方にとって、服装に縛られるのはとても苦痛なことでしょう。こうした動きは今後ますます増していくことが予想されます。
こうした取り組みが広がることで、誰もが自分らしく働ける社会に近づいていくはずです。
大切なことは他者への配慮と自分らしさのバランス

学校や職場で服装自由化が広がり、LGBTQ+を含む誰もが自分らしい装いを選べる時代になってきました。スカートとズボンの選択制やドレスコードフリーの導入が進み、男女という壁に囚われる世の中の考えは少しずつですが、たしかに変わりつつあります。
けれど、その自由がみんなにとって心地よいものになるためには、やっぱり周りへの思いやりが欠かせません。LGBTQ+の人もそうでない人も、互いに気配りをし合うことで、自由と安心が同時に息づく場所が育っていくのだと思います。