インターセックスとは、身体の性の特徴が典型的な男性または女性の区分に当てはまらない状態を指す言葉です。性別は単純に2つに分けられるものと思われがちですが、実際には身体の発達にはさまざまなパターンが存在します。
本記事では、インターセックスの基本的な意味や特徴・種類、誤解されやすいポイントについて解説します。
インターセックスとは? 性分化疾患(DSD)の特徴
インターセックスとは、染色体やホルモン、外性器や内性器などの身体的特徴が、一般的に想定される男性または女性の発達とは異なる状態を指します。医療分野では性分化疾患、DSDと呼ばれることもあります。
インターセックスは生まれつきの身体のあり方の一つであり、特別な例外ではなく一定の割合で存在しています。外見から分かる場合もあれば、思春期や検査をきっかけに気づく場合もあり、その現れ方には個人差があります。
インターセックスは性自認・性的指向とは異なる

インターセックスは身体的な性の特徴に関する概念であり、性自認や性的指向とは異なります。性自認は自分自身をどの性別として認識するかという内面的な感覚であり、性的指向はどのような相手に惹かれるかという点を指します。
これに対してインターセックスは、染色体やホルモン、身体の発達などに関わる特徴を表す言葉です。例えば、インターセックスの人がどの性別として生きるか、誰に惹かれるかは人それぞれであり、特定の傾向があるわけではありません。
また、インターセックスであること自体が、必ずしも性的マイノリティであることを意味するわけではありません。性自認や性的指向は個人によって異なるため、インターセックスであっても、戸籍上の性と同じ性自認を持ち、異性に惹かれる人もいます。
このように、身体の特徴と性のあり方はそれぞれ別の要素として考えることが大切です。
インターセックスにはどのような種類がある?
インターセックスの状態は一つではなく、さまざまなパターンが存在します。一般的には70種類以上あるとも言われており、明確に分類できないケースも少なくありません。ここでは代表的な特徴の違いをもとに、いくつかの例を紹介します。
染色体の違いによるもの
インターセックスの中には、染色体の構成が一般的なXXやXYとは異なるケースがあります。例えば、XXYやXOなどのパターンがあり、これによって身体の発達に違いが生じることがあります。
ただし、染色体の違いが必ずしも外見に現れるとは限らず、本人が気づかないまま生活している場合もあります。また、染色体と身体の発達の関係は単純ではなく、同じパターンでも個人によって現れ方が異なることがあります。そのため、染色体だけで性のあり方を判断することはできません。
ホルモンの働きによるもの
ホルモンの分泌量や受け取り方の違いによって、身体の発達に影響が出る場合もあります。例えば、特定のホルモンが十分に作用しないことで、一般的な男性または女性の身体的特徴とは異なる発達をすることがあります。このようなケースでは、見た目だけではわからないことも多く、思春期以降に変化として現れることもあります。
ホルモンの働きは非常に複雑であり、単純に男性型や女性型と分けられるものではありません。そのため、身体の発達には多様なパターンが存在することを理解する必要があります。
外性器や内性器の発達によるもの
外性器や内性器の発達の違いによって、インターセックスとされる場合もあります。例えば、外見上の特徴が一般的な男性または女性のどちらかに当てはまらない場合や、内性器の構造が異なる場合などが挙げられます。
ただし、これらの違いも一様ではなく、外見だけで判断できないケースが多くあります。また、身体の一部の特徴だけで性のあり方を決めることはできません。
インターセックスについてよくある誤解

インターセックスは正確に理解されていないことも多く、誤解や偏見の対象になることがあります。ここでは代表的な誤解についてまとめました。
「インターセックス=男女の中間の性」と単純に理解される
インターセックスは、男性と女性の中間に位置する性別として説明されることがありますが、これは誤りです。実際にはインターセックスとは身体の発達のあり方が多様であることを示す概念であり、単純に中間という一つの位置に収まるものではありません。
例えば、染色体・ホルモン・外性器などの特徴はそれぞれ独立しており、その組み合わせによって多様な状態が生まれます。そのため、中間という言葉だけで説明すると、本来の複雑さが見えなくなってしまいます。
インターセックスは「男か女かを選べる存在」だと思われる
インターセックスは、生まれた後に性別を自由に選べる特別な存在だと誤解されることがあります。しかし実際には、出生時に身体の状態をもとに戸籍上の性別が割り当てられるのが一般的です。
その後、成長の過程で自分の性自認との違いに気づく場合もありますが、それはインターセックスに限ったことではありません。
また、過去には本人の意思を十分に確認しないまま医療的な処置が行われるケースもあり、現在ではそのあり方が見直されています。こうした背景からも、単純に選べるという理解は現実とは異なります。
見た目や身体の特徴だけで判断できる
インターセックスは外見から判断できるものだと思われがちですが、実際には見た目だけではわからないケースが多くあります。例えば、染色体やホルモンの違いは外見に現れないこともあり、本人が検査などで初めて知る場合もあります。
外見と身体の内部の状態は必ずしも一致しないため、見た目だけで判断することは誤解につながります。性のあり方は外見だけで決められるものではないという前提で理解することが大切です。
インターセックスは特別・異常なものである
インターセックスは珍しく特別な存在だと思われることがありますが、実際には一定の割合で存在している身体の多様性の一つです。割合には幅がありますが、世界人口のおおよそ0.05〜1.7%と言われており、決して極めてまれなものではありません。
それにもかかわらず、社会的な認知が低いために特別視されてしまうことがあります。こうした捉え方は偏見につながる可能性があるため、まずは多様な身体のあり方があることを知ることが重要です。
インターセックスを知って多様な身体的性のあり方を尊重しよう
インターセックスは、身体の性が一つの型に収まらないことを示す大切な概念です。大切なのは、一般的な基準に当てはめることではなく、それぞれの違いを前提として理解することです。また、本人の身体や経験について必要以上に詮索しない姿勢も求められます。
インターセックスについて知ることは、性の多様性を理解する第一歩となります。一人ひとりの違いを認め合いながら、誰もが安心して生きられる社会を目指していくことが大切です。

