Xジェンダーとは、男性や女性といった従来の性別の枠に当てはまらない性自認を表す言葉です。日本で広まった用語であり、海外で使われるノンバイナリーなどと近い意味を持ちながらも、完全に同じではありません。
本記事では、Xジェンダーの基本的な意味や多様なあり方や関連する用語との違い、よくある誤解について、初めての方にもわかりやすく解説します。
Xジェンダーとは?日本で使われてきた背景
Xジェンダーとは、性別を男性か女性のどちらかに限定して捉えない性自認を指します。Xジェンダーという言葉は日本で生まれ、主に当事者が自分の感覚を説明するために使われてきました。
英語圏ではやや近しい意味としてノンバイナリーなどの表現が一般的ですが、日本ではそれとは別にXジェンダーという言葉が広まり、独自の文脈を持っています。
SNSやコミュニティを通じて徐々に認知が広がり、自分の感覚を言葉にできる手段として受け入れられてきました。現在では、性の多様性を理解するうえで重要な概念のひとつとして扱われています。
Xジェンダーにはどのようなあり方がある?

Xジェンダーには明確にひとつの形があるわけではなく、あり方は人によって大きく異なります。例えば、次のようなあり方が挙げられます。
- 男女の中間という感覚を持つあり方
- 男女両方の感覚を持つあり方
- 性自認が揺れ動く・変化するあり方
- ジェンダーという枠組みを認識しないというあり方
これらはあくまで一例であり、すべてのXジェンダーの人がこの中に当てはまるわけではありません。実際には、言葉で説明しきれない感覚を持っている人や、複数の特徴が重なっている人もいます。また、時間の経過や置かれている環境によって感じ方が変わることもあります。
そのため、Xジェンダーを特定の分類に当てはめて理解しようとするのではなく、それぞれの人がどのように自分の性を捉えているのかを尊重することが大切です。
Xジェンダーと近い意味を持つ用語との違い
Xジェンダーと近い意味を持つ言葉は複数存在しますが、それぞれ成り立ちや使われ方が異なります。
特に海外ではノンバイナリーやクィアなどが一般的に使われており、日本語のXジェンダーと完全に一致する概念はありません。そのため、単純に同じものとして扱うのではなく、それぞれの違いを理解しましょう。
Xジェンダーとノンバイナリーの違い
Xジェンダーとノンバイナリーは、どちらも男性・女性の二分法に当てはまらない性のあり方を表す言葉である点で共通しています。
一方で違いは、概念の広さと焦点にあります。Xジェンダーは主に性自認に関する言葉として使われることが多く、自分がどの性別として認識しているかに重点が置かれます。それに対してノンバイナリーは、性自認だけでなく外見や振る舞いを含めて、より包括的な概念として使われることがあります。
ただし、この違いは明確に線引きされているわけではありません。そのため、どちらを使うかは個人の感覚や文脈によって異なり、本人の選択を尊重することが大切です。
Xジェンダーとクィアの違い
Xジェンダーは性自認の一つのあり方を指す言葉であり、自分の性別の感じ方が男性・女性の枠に当てはまらない状態を表します。一方でクィアは、それよりも広い意味を持つ言葉で、性的指向や性自認など、既存の枠組みに当てはまらない人々を包括的に表す概念として使われます。
つまり、Xジェンダーは性自認に焦点を当てた具体的な分類であるのに対し、クィアは性の多様性全体を包括する言葉です。そのため、Xジェンダーの人がクィアと自認することもありますが、クィアは必ずしも特定の性自認を意味するものではありません。
また、クィアには歴史的に差別的な文脈があったことから、使い方には配慮が必要とされる場合もあります。
Xジェンダーとサード・ジェンダーの違い
サード・ジェンダーは第三の性とも呼ばれ、男性・女性とは別の性別として社会的に認識されている概念です。国や地域によっては法的に第三の性が認められている場合もあり、制度や文化と結びついている点が特徴です。
一方、Xジェンダーは社会制度上の性別ではなく、個人の内面的な性自認を表す言葉です。サード・ジェンダーが社会的な分類として存在することがあるのに対し、Xジェンダーはあくまで個人の感じ方や自己認識に基づく概念です。
Xジェンダーについてよくある誤解

Xジェンダーという言葉は、本来の意味とは異なる形で理解されてしまうことがあります。特に、わかりやすく説明しようとする中で、実際の多様なあり方が単純化されてしまうケースも少なくありません。
ここでは、Xジェンダーに関してよく見られる誤解について整理し、より正確に理解するためのポイントを紹介します。
「性別がない人」と単純に理解されることがある
Xジェンダーは、男性か女性かという二分的な枠組みに当てはまらないと説明されることから、性別がない状態だと単純に理解されてしまう場合があります。
しかし実際には、性別を全く感じない人だけでなく、男女の中間に位置すると感じる人や、複数の性の感覚を持つ人など、さまざまなあり方が含まれています。
こうした多様性を理解せずに一括りにしてしまうと、当事者の感覚を正しく捉えることが難しくなります。Xジェンダーはあくまで一つの固定された状態ではなく、人によって異なる幅広いあり方を含む概念であることを意識することが大切です。
見た目や服装で判断できると思われる
一般的に外見や服装から性別を判断しようとする考え方があるため、Xジェンダーも見た目でわかるものだと思われることがあります。しかし、性自認は内面的なものであり、外見だけで判断できるものではありません。
例えば、一般的に男性的または女性的とされる服装をしていても、それが本人の性自認と一致しているとは限りません。また、ファッションや髪型は個人の好みや文化的背景によって選ばれるものであり、必ずしも性別と結びついているわけではありません。
そのため、見た目から性自認を決めつけることは誤解につながります。外見と内面は必ずしも一致しないという前提で理解しましょう。
性的指向と混同されることがある
Xジェンダーは性自認に関する概念ですが、しばしば性的指向と混同されることがあります。性的指向とは、どのような相手に恋愛感情や性的魅力を抱くかを指すものであり、性自認とは別の要素です。
Xジェンダーの人がどの性別に惹かれるかは個人によって異なり、特定の傾向があるわけではありません。性自認と性的指向は独立した概念であるため、一方からもう一方を推測することはできません。
Xジェンダーを知って自分らしいあり方を大切にしよう
Xジェンダーは特別なものではなく、人それぞれが持つ性の感じ方の一つです。大切なのは、周囲の価値観に無理に合わせることではなく、自分にとって自然だと感じられるあり方を尊重することです。
また、他者に対しても決めつけをせず、多様な考え方があることを理解しようとする姿勢が求められます。
Xジェンダーという言葉を知ることは、自分自身や周囲の人をより深く理解するきっかけになります。それぞれの違いを認め合いながら、自分らしく生きられる社会を目指していくことが大切です。

