『キック・アス』『ヒューゴの不思議な発明』『キャリー』などハリウッドの長編作品に数多く出演した経歴を持つ俳優のクロエ・グレース・モレッツ。以前からLGBTQ+コミュニティと連帯する姿勢を明確にしていた彼女が、ついに同性パートナーのケイトと結婚式を挙げたことを報告しました。
こちらの記事では、結婚式で着用したドレスやLGBTQ+コミュニティとのつながりや影響力について紹介します。
クロエ・グレース・モレッツが結婚式を挙げたことを報告
ハリウッドで活躍する俳優のクロエ・グレース・モレッツが、モデルのケイト・ハリソンと結婚式を挙げたことをファンに報告し、話題となりました。
ケイト・ハリソン(@thekateharrison)
We are deeply moved by the love, care, and artistry poured into the creation of our dresses. Every detail reflects such intention and beauty, and it’s something we’ll cherish forever. Our hearts are so full, and we thank you from the bottom of them, @nicolasghesquiere and @louisvuitton. ❤️
私たちのドレスを作るために注がれた愛情と思いやり、芸術に胸がいっぱいになりました。細かなディテールに込められている深い思いと美しさは、永遠に大切にしたいです。私たちの心は幸せいっぱいで、@nicolasghesquiere と @louisvuitton に感謝します。
クロエ・グレース・モレッツ(@chloegmoretz)
Words can’t begin to express how this feels. Thank you @nicholasghesquiere @louisvuitton. Your generosity, artistry, dedication and kindness knows no bounds. We feel so incredibly grateful. Thank you doesn’t even begin to cut it, but, thank you. Your vision made our day all the more meaningful. x
今の気持ちを言葉にすることは到底できません。 @nicholasghesquiere と @louisvuitton の寛大さと芸術性、熱意、優しさには「ありがとう」と言う言葉だけでは足りないほどに感謝しています。このドレスが私たちにとって特別な日をより意味のあるものにしてくれました。
デザイナーズドレスの仕上がりには、とても満足だったようです。二人の幸せに満ちた写真と愛に溢れた言葉からは、同性で結婚を考えている人たちにも大きなインスピレーションとなるに違いありません。
ゲイの兄弟と母親の影響でオープンな精神力を育む幼少期
クロエには4人の兄がおり、そのうち2人(トレバーとブライトン)はゲイであることを公言しています。幼少期の頃、ゲイという理由だけでいじめに遭っている兄を目の当たりにした経験を持つクロエは、メディアに「兄がゲイであることは私にとって特別ではない。自然で当たり前なことなの。」と語り、アライとしてLGBTQ+コミュニティを支持する姿勢を示しました。
兄・トレバーは、子役時代からクロエの演技指導を続けており、キャリア形成に大きく貢献しました。兄に対する愛情と尊敬こそ、彼女の原動力になっているといえます。
さらに、彼女のオープンな精神力を育む上で欠かせないのが母親テリ・デューク・モレッツの存在です。クロエは「母は、学生時代からゲイやトランスジェンダーなど多くの人種の友人と過ごしていたの。」と話し、家庭でもゲイフレンドリーであることがわかります。さらに、人から「なぜ息子にピンクレンジャーの衣装を着せるの?」という偏見に満ちた指摘に対して「本人がピンクを選んで笑顔だからよ。」と一蹴した母親のエピソードも明かしています。社会の冷たい視線に屈することなく、目の前にいる愛する人たちの幸せを大切にする姿勢は、今のクロエの生き方がそのまま反映されているようです。
LGBTQ+の法的保護を強く願うカミングアウト
10代の頃から「アライ」を公言していたクロエですが、2024年の大統領選挙の期日前投票を促す投稿にて「as a gay woman(一人のゲイの女性として)」と自身の性的指向を明かしました。
クロエ・グレース・モレッツ(@chloegmoretz)
voted early and I voted for Kamala Harris. There is so much on the line this election. I believe the government has no right over my body as a woman, and that the decisions over my body should come ONLY from myself and my doctor. Kamala Harris will protect that for us. I believe in the need for legal protections that protects the LGBTQ+ community as a gay woman. We need protections in this country and to have access to the care we need and deserve. SO… Are you voting early? Let’s get a plan together to get to your polling place with your friends! Go to IWillVote.com to figure out the best plan for you
私は期日前投票でカマラ・ハリスに投票しました。今回の選挙は、多くの意味を持ちます。一人の女性として、自身の身体に関する権利を政府が握ることは間違っていると信じています。女性の身体に関する決断は、その人と医師だけが下せるべきです。カマラ・ハリスなら、その権利を守ってくださることでしょう。私は、ゲイの女性として、この国ではLGBT+コミュニティを保護する権利が必要であると強く信じています。みなさん、期日前投票は済ませましたか?友達と一緒に投票計画を立ててください!あなたにとって最適な決断が何か知るためにIWillVote.comを使ってみてください。
クロエは、以前からLGBTQ+を支持するだけではなくフェミニストとして女性の権利も強く訴えてきたハリウッド俳優の一人です。今回の投稿では「人工中絶の合法化」と「LGBT+コミュニティの法的保護」の2点について言及しています。
カマラ・ハリス氏は、「Equality Act(LGBTQ+を理由にした差別を禁止する法案)」を支持して、当事者を保護する政策を立てることを表明しました。一方のドナルド・トランプ氏は、LGBTQ+保護の法律を弱体化させるような方針が強く打ち出されており、当事者たちの不安を煽ることとなりました。
2025年1月20日、大統領に就任した当日、性別認識という概念に苦言し、性は「male(男性)」と「female(女性)」の2つのみにする大統領令に署名しました。これによりトランスジェンダーの人たちのアイデンティティは法的に否定され、医療や教育、雇用などの場面で差別に直面するリスクが高まっています。
大統領選挙の結果について、クロエは公の場で発言することはありませんでした。具体的な政党や人物の批判はコミュニティ間の分断を煽る恐れもあるので慎重な判断といえます。彼女は、政治的対立を避け、同性パートナーとの結婚式や日常をシェアする形でLGBTQ+コミュニティに発信を続けています。
クィア俳優として挑む映画制作とハリウッドでの存在感
クロエ・グレース・モレッツは、自身の経験や立場を活かしてLGBTQ+をテーマにした作品作りにも積極的に携わっています。
ここでは、クィア俳優として参加している作品を2つ紹介します。
ミスエデュケーション(2018)
ミスエデュケーションは、交通事故で両親を亡くした少女・キャメロンが、保守的な叔母によって”同性愛を治す”ための矯正治療施設「神の約束」に送り込まれ、そこで暮らす仲間たちと絆を深めるストーリーです。クロエは主人公のキャメロンを演じています。
同作品の脚本を読む前に約1年半ほど休業していた彼女の復帰作となりました。近年ではLGBTQ+をテーマにした作品が増えていますが、クロエは「この作品には白人のシスジェンダー男性視点で描かれていない点に惹かれたの。」と語っています。ハリウッド映画では、女性やマイノリティの視点で物語が描かれることが依然として少なく、当事者に深い共感と希望を与える作品として評価されています。
ニモーナ(2023)
ニモーナは、中世を舞台に、自由自在に見た目を変えられるシェイプシフターの少女・ニモーナと反逆者として命を狙われる騎士バリスター・ボールドハートの冒険を描いています。クロエは、性別不適合の主人公・ニモーナの声優を担当しています。
同作品は20世紀フォックス傘下のBlue Sky Studioが制作をしていたものの、2021年にディズニーによってスタジオが閉鎖に追い込まれたことで打ち切りとなりました。2022年3月にディズニーがピクサーに対してLGBTQ+描写を削除するように検閲していたという内部告発がされており、同作では男性同士のキスシーンがでてくることから、真偽は不明であるものの「問題視されたのでは?」という報道で物議をかもしました。
自由自在に見た目を変えられるニモーナを通して、性的指向や性自認などアイデンティティの流動性を美しく肯定的に描いています。クロエ自身も「ニモーナは、ありのままの自分でいいというメッセージを持つ存在だ。」と話しており、若い観客やLGBTQ+コミュニティを中心に高く評価されています。
クロエ・グレース・モレッツが体現する「愛と多様性」の強さと美しさ
クロエ・グレース・モレッツは、幼少期から兄弟や母親と交流する中でオープンな価値観を育み、アライからクィア当事者として人生を歩んできました。同性パートナーとの結婚式の様子は、多くのファンやLGBTQ+コミュニティから祝福され、自分らしく生きることの美しさを象徴する瞬間となりました。近年では、LGBTQ+をテーマにした作品にも積極的に携わっており、今後の活躍も目が離せません。