LGBTQ+として就職活動を進めるとき、「履歴書に書くべきか」「面接で話すべきか」といった自己開示の悩みは多くの人が抱えます。さらに、本当にインクルーシブな企業をどう見分ければいいのかも重要な課題です。
この記事では、自己開示の判断基準から企業選びのポイントまで、安心して就活を進めるための具体的なアドバイスを紹介します。
就職活動でLGBTQ+の自己開示は必要?判断のポイント

履歴書や面接で自分の性的指向や性自認をカミングアウトするかどうかは、多くのLGBTQの就活生が悩むポイントです。結論から述べると、LGBTQ+であることは必ずしも伝える必要があるものではありません。
ここでは、就職活動でLGBTQ+をカミングアウトするか迷っている方に向けて、メリットとデメリットを紹介します。
メリット
自己開示によって、自分の経験や価値観を含めた幅広いアピールが可能になります。“本来の自分”を理解した上で評価されることで入社後のミスマッチを防ぎ、安心感のある人間関係やキャリアの方向性も描きやすくなります。
デメリット
LGBTQ+であることをカミングアウトすることは、採用に影響するリスクがあります。特に中小企業では対応体制が整っていないことから、不採用となることも少なくありません。企業側の不安や社内環境の未整備が理由で、採用を見送られるケースも見受けられます。
開示するか迷ったときのチェックポイント
LGBTQ+のみなさんにとって、就職活動で自ら開示するのは勇気のいることだと思います。ここでは、言うべきか悩んだ時のチェックポイントを紹介します。当てはまるものが多い方は開示してもよいでしょう。
- 就職後の人間関係を築く上で嘘をつきたくない
- LGBTQ+関連活動や経験が応募職種のスキルアピールになる
- 開示することで得られるメリットがリスクを上回ると感じる
- 無理なく自然に自己紹介や職務経歴に組み込める
- 自分のセクシュアリティについて隠さず、自分らしく働きたい
- LGBTQ+への理解や配慮がある職場で安心して働きたい
- 応募先がLGBTQ支援を公表している
履歴書・面接での自己開示 ― 就職活動を成功させるためのコツ

就職活動を成功させるために必ず通るのが、履歴書と面接です。どのタイミングでいうべきか、言っていいのか悩む就活生も多いでしょう。結論から述べると、就職活動でLGBTQ+であることを自己開示するタイミングに正解はありません。もし伝えるのであれば、履歴書や面接で、自己紹介や学生時代の経験を話す流れの中で自然に触れるのが理想です。
ここでは、LGBTQ+の履歴書や面接でのポイントを紹介します。
セクシュアリティを強みの根拠にしすぎない
「LGBTQ+当事者なので多様な考え方ができます」といった表現は、そのままでは説得力に欠けます。重要なのは、当事者としての経験から得た具体的なスキルや価値観です。例えば「大学時代に多様な背景を持つメンバーとイベントを企画し、意見の異なる人同士をつなぐ調整力を身につけた」というように、背景と成果を具体的に伝えると評価につながります。
面接は理解を得る場ではなくマッチ度を示す場
面接の目的は、自分がその会社で活躍できる人物であることを伝えることです。企業や面接官によってLGBTQ+への理解度は異なりますが、面接は理解を広げるための時間ではありません。「この人が入社すれば自社にメリットがある」と感じてもらえるエピソードを準備しましょう。
【エピソードの作り方のポイント】
- 何を考え、何のために、何をしたかを明確に
例:「自身のサイトのアクセス数が伸び悩んでいた → 情報を必要とする人に届けるため → SEO対策を行い記事をリライト」 - 最初と最後に一貫性を持たせる
強みを冒頭で示し、最後までブレずに同じテーマで締める。 - 具体的な数字を入れる
成果や変化を数値で示すことで説得力が増す。
LGBTQ+フレンドリーな企業を見つけるには?

LGBTQ+に配慮した企業は、制度や社風に特徴があります。就活時には以下のポイントを企業HPやニュースリリース、イベント参加報告などで確認しましょう。
・差別禁止規定
企業理念やCSRページに「性的指向」「性自認」に基づく差別を禁止する記載があるか。
・福利厚生制度
同性パートナーへの結婚祝い金や休暇、社宅利用、家族手当などのパートナーシップ制度や、性別適合手術休暇の有無。
・研修・イベント参加
LGBTQ+に関する社内研修や、東京レインボープライドなど外部イベントへの協賛・出展。
・社内コミュニティ・相談窓口
当事者・アライサークルや匿名相談窓口が整備されているか。
・設備面の配慮
誰でも使えるトイレや個室更衣室など、安心して利用できる環境があるか。
LGBTQ+の就職活動は「自分らしさ」を大切に

就職活動は、自分の未来を選ぶ大切な時間です。LGBTQ+としての自分を履歴書や面接でどこまで話すかは、無理をせず、自分が心地よいと思える範囲で大丈夫です。
話すことで自分らしさを知ってもらえることもあれば、話さないことで守れる安心もあります。企業を選ぶときは、制度や福利厚生だけでなく、そこで働く人の雰囲気や温かさも感じてみてください。
あなたが安心して力を発揮できる場所は、きっと見つかります。